カスハラから自分を守るためには、対応時に物理的・心理的な「境界線(バウンダリー)」を引く技術が必要です。
今回は顧客に対する距離感の保ち方について考えてみましょう。
基本知識
カスハラから自衛するためには、就業者自身が「受けてもよい行為」と「拒否すべき行為」の境界線を明確に持つことが求められます。
顧客からの要求が正当なクレームの範囲を超えたとき、私たちはどのように自分を切り離し、自身を守るべきでしょうか。
自分が攻撃によって壊れないよう自衛するためには、単なる我慢ではなく、具体的な対応技術として習得することが重要です。
これは、継続的に健康に働き続ける、いわゆるウエルビーイングのためには不可欠なステップとなります。
専門家としての分析
対人関係において、自分と相手を切り離すことは冷たさではなく、健全な自己防衛です。
例えば、相手の怒鳴り声が始まったら、内容に反応するのではなく「声の大きさ」という事実に注目し、一歩下がる。
あるいは「私は会社のルールに従っている」という立場を明確にすることで、個人攻撃を回避します。
このような行動を自然に取れるようになることが、バウンダリーの正しい活用です。
今回のポイント
プロとしての「心理的境界線」を確立する
自己犠牲ではない誠実さを持ち、自分を守るための距離感(ディスタンス)を技術として習得すること。これが心の護身術の真髄です。
もし「お客様の期待に応えたい」というあなたの高い職業倫理や優しさがあったとしても、それは時にあなたを追い詰める刃になることがあります。
プロとして誠実であることと、自己犠牲は別物です。
「ここまでは誠実に対応するが、ここからの不当な要求にはNOと言う」という明確なラインを自分の中に持ちましょう。
境界線を引くことは、相手を拒絶することではなく、お互いの尊厳を守るための「対人スキルの基本」だと考え、行動をシフトしていきましょう。
Q&A
Q:しつこく個人名を指名して説教してくる顧客がいます。うまく距離を置くにはどうすればいいですか?
A: 「私」という個人ではなく「組織の一員」としての境界線を強く意識しましょう。
例えば、「私は会社の規定に基づき、これ以上の対応は致しかねます」と、主語を「組織」に置き換えて伝えます。
個人としての優しさを一度脇に置き、職務上の役割という透明な壁を作ることで、あなたの心に直接ダメージが届かないようにガードを固めましょう。
また、繰り返しの行為が目立つようであれば、他のスタッフに対応を替わってもらうようにしましょう。
これも組織のカスハラ対応として求められる重要なポイントのひとつです。
