カスタマ―ハラスメントを起こす加害者は、最初は常識的な会話をしていても、ある些細なことをきっかけに感情を爆発させるケースがほとんどです。
認知行動療法では、感情は「出来事」そのものではなく、その後の「解釈(認知)」によって生まれると考えます。
基本知識
カスハラ客の最大のエネルギー源は「怒り」です。
この怒りは、単にサービスに不備があったから発生するのではなく、顧客が抱く「主観的な期待」が、現実場面で裏切られたと感じたときに増幅されます。同じ事象に対しても、激昂する人とそうでない人がいるのはなぜでしょうか。
怒りという感情が、個人の思考プロセスの中でどのように生成され、エスカレートしていくのか。
その構造を理解することで、理不尽な要求の背後にある「認知の歪み」が見えてきます。
専門家としての分析
カスハラが発生する際、顧客の頭の中には「客に対するスタッフの態度はこうあるべきだ」「100点満点のサービスが当然だ」という強い「~すべき思考」が存在します。
この「べき」が裏切られたと感じたとき、脳の扁桃体が過剰に反応し、激しい怒りが爆発します。
いわば、顧客側の認知の歪みが、理不尽な要求へと繋がっているのです。
今回のポイント
感情に振り回されない「認知の切り離し」
カスハラ客の怒りの原因は、本人の「認知の歪み(バグ)」であり、スタッフ個人への評価ではありません。
受け手側のメンタルを守るために重要なのは、このポイントを瞬時に解釈する習慣です。
相手の怒りを「自分への攻撃」として受け止める必要はありません。それは相手の持つ認知のフィルター、つまりとらえ方に問題があるのだと、冷静に切り離して考える練習が、心の健康を守る鍵となります。
Q&A
Q:理不尽に怒鳴られると、つい「自分が何か悪いことをしてしまったのでは」とパニックになります。どう考えれば楽になれますか?
A:認知行動療法の考え方を取り入れましょう。相手の怒りは「あなたの行動」に対するものではなく、相手が勝手に抱いている「過剰な期待(~すべき思考)」によるあてが外れたことへの反応です。
いわば相手の頭の中で勝手に起きているエラーです。
「この人は今、自分の中のルールに振り回されているんだな」と、一歩引いて観察する練習をしてみましょう。
