これまでは主に被害を防ぐための手法や心理についてお伝えしてきましたが、ではカスハラのない未来に向けて、私たちが社会全体でどのようなマインドセットを持つべきなのか。
今回はカスタマ―ハラスメントという概念そのものがない未来に向かって、私たちが今ここでできることを考えます。
基本知識
私たちは今、過剰なサービス競争がもたらした「お客様は神様である」という偏った価値観から、持続可能な「対等なパートナーシップ」への大きな転換期に立っています。
顧客と就業者は、本来、サービスと対価を交換し合う対等な関係です。
臨床心理学的な理想の状態は、双方が自己の主張を適切に行いつつ、相手の立場も尊重する「アサーティブ(誠実な自己主張)」な関係性にあります。
顧客側への啓蒙は、これからの社会全体の課題です。
しかし同時に、企業側が「従業員を大切にする」姿勢を明確に打ち出すことは、実は最高のブランディングになります。
従業員が生き生きと、尊厳を持って働いている場所には、自然と質の高い顧客が集まり、互いに感謝し合う好循環が生まれます。
カスハラ対策は、特定の誰かを排除するためだけのものではなく、誰もが心地よく過ごせる社会の「新しいインフラ」を作る活動なのです。
専門家としての分析
現在は、過剰なサービス競争から「持続可能な対人関係」への転換期にあります。
顧客と従業員は本来、価値を交換する「対等なパートナー」です。
この「対等性(アサーティブな関係)」を社会全体で再構築していくことが、カスハラ根絶への根本的なアプローチとなります。
今回のポイント
対等な「アサーティブ・リレーション」の構築へ
過剰なサービスにより顧客を獲得していく方法は、現代には通用しません。
このような過去の集客モデルから脱却し、互いを尊重し合う新しい社会インフラとしての接客接遇文化への切り替えを進めましょう。
つまりカスハラ防止の掲示は、迷惑客を排除するためだけのものではありません。
「従業員を大切にする店」、いわゆるES重視であるという宣言は、結果として良質な顧客を引き寄せ、より良いサービス環境を生みます。
互いを尊重し合う新しい「接客のカタチ」を、共に創っていきましょう。
Q&A
Q:カスハラ防止のポスターを貼ると、ドキッとされた顧客が減ってしまうのではないかと心配です。
A: 実は逆の結果になることが多いです。
不適切な言動を許さない姿勢を示すことは、良質な顧客にとって「安心して利用できる場所」であることを意味します。
つまり、質の良いお客様に残っていただくためには、むしろカスハラお断りのスタンスを明確にしておくことが奏功するということです。
このように正当なクレームの範囲を超えた不当な要求を排除することは、結果として善良な顧客と従業員の双方を守り、長期的に「選ばれる店」へと成長する礎になります。
対等な関係性を築く一歩を踏み出しましょう。
さらに「STOP!カスハラ」という掲示は、就業者を守るための盾であると同時に、良識ある顧客に対する「私たちはプロとして誠実な仕事をします」という約束の証でもあります。
互いを一人の人間として尊重し合う、新しい時代の接客文化。
それを現場のあなたと、組織、そして社会全体で共に創り上げていきましょう。
あなたの笑顔が、理不尽な怒りに消されることのない未来を心から願っています。
