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コラム

第6回:公務員にとってのカスタマーハラスメントー「反論できない」という立場を狙う支配への対処

自治体をはじめとする役所や公的な機関では、職員が「市民全体に対する奉仕者」であることが意識され、民間の期間に比べて、利用者に対する反論や拒否がしにくいという特徴があります。
このような立場であることから、行政職員が精神的な無力感に追い込まれるケースが多発しています。

基本シーン

窓口で、法的に不可能な要求を執拗に繰り返す市民に対し、職員が丁寧に説明を続けています。顧客は「お前たちの給料は俺たちが払っているんだ」「役所の不備を棚に上げて、そんな冷たい対応をして許されると思っているのか」と、感情的になり職員個人を執拗に追い詰めます。
管理職が対応交替をしても「謝り方が気に入らない」と、謝罪のやり直しを命じたり、数時間にわたって窓口に居座り続けたりします。
職員側は「何を言っても通じない」「逆らえば火に油を注ぐ」と諦め、ただ耐えるしかないという絶望感に包まれてしまいます。

専門家としての分析

認知行動療法の視点では、こうした「どれほど誠実に説明しても報われず、終わりの見えない攻撃」を浴び続けることは、学習性無力感を招く状態です。
学習性無力感とは、自分がどんなに努力し、行動したとしても、結果的に反映されない状況が続くことで、「何をしても無駄だ」と絶望的になってしまうような心理状態を指します。
こうなると職員は抵抗せずひたすら攻撃を受けるだけの立場に追い込まれ、精神的にも追い詰められてメンタル障害を引き起こす危険性も高くなってきます。
さらに顧客側は、職員が拒絶できないという構造的な弱みを知っていることで、無意識に、場合によっては意図的に、相手を支配すること自体を目的化していきます。
これは単なる怒りではなく、他者の人格をコントロールしようとする深刻な精神的攻撃です。

対応のポイント:無力感を打ち破る「外在化」と「組織的な遮断」

無力感に支配されないためには、職員自身が、この問題は自分の能力不足ではなく、構造的な不備であることに気付き、外在化(自分から切り離す)することが不可欠です。
組織としても、職員個人に忍耐を強いるのではなく「一定時間を超えた、あるいは不当な要求が出た時点で対応を強制終了する」というルールを設け、実践してください。
組織が「明確に拒否する」というアクションを見せることは、職員が失いかけていた「自分は自分の環境をコントロールできる」という感覚を取り戻すための、最初で最大のステップとなります。

Q&A

Q:窓口で「税金泥棒」とののしられても、反論しきれず耐えるしかありません。どう考えれば楽になれますか?

A:その無力感は、あなたの責任ではなく、仕組みが機能していない証拠です。
相手の言葉は、あなたの仕事に対する評価ではなく、単なる攻撃のための道具に過ぎません。
まずは「今、自分は構造的なハラスメントの中にいる」と正しく認知してください。
そして、一人で耐えることを美徳とせず、組織に対して、個人の判断で対応を打ち切る基準の明確化を求めていきましょう。
組織が毅然とした態度を示すことは、あなた自身の尊厳を守るだけでなく、本来の公務を円滑に進めるための「公の義務」でもあるのです。

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