第3回:職場ストレスを乗り切るマネジメントスキルとは(その3)

嶋田 洋徳 先生(早稲田大学人間科学学術院 教授)

嶋田先生へのインタビュー最終回は,組織で実施されているストレスチェックをメンタルヘルス維持に活かしていくためのコツなどについてお聞きしました

―ストレスチェック制度を職場全体のメンタルヘルス維持に活かすにはどうしたらよいですか?
嶋田:ストレスチェックは,労働者のメンタルヘルス不調の一次予防を目的として出来た制度です。そのため、事業者や労働者自身が、現状のストレスがどの程度かを意識するには有効ですが,これだけで心理面における問題を解決することはできません。ストレスチェックの分析結果を受け,事業者がメンタルヘルスの課題を正しく認識するとともに,従業員研修などを通じて,ひとりひとりがストレスに対処できるようなセルフマネジメントの知識やスキルを身に着けていくことが望ましいと言えます。

―最後に伺いたいのですが,職場ストレスを下げるためには、組織全体としてどのような取り組みを行うことが望ましいのでしょうか?
嶋田:前回お伝えした通り、まずは労働者ひとりひとりが自己のストレスをセルフコントロールできるよう、知識やスキルを身につけることがとても重要です(セルフケア)。加えて,それを促進するようなラインケア,職場の雰囲気づくりも大きくかかわってきます。組織全体ということになると,相談窓口の周知や利用の勧奨も必要になってきますね。また,個人のメンタルケアだけではなく,広い角度からワークライフバランスの実現ができるよう、企業としての仕組み作りに取り組むことが期待されます。

―大変わかりやすいご説明をありがとうございました。